のぼせ・多汗・不眠の漢方的考え方
今年の夏は、記録的な猛暑でしたね
その影響か、「のぼせ」「多汗」「不眠」のご相談が、例年よりも多く見られました
夜も暑くて寝苦しく、眠りが浅くなったり、途中で目が覚めてしまったり…
体も心も疲れをためやすい季節だったように思います
今回は、そんな「のぼせ」や「不眠」について、
漢方の視点から少しお話してみたいと思います
漢方で考える“のぼせ”や“ほてり”の原因
西洋医学では、自律神経やホルモンバランスの乱れが原因とされますが、
漢方ではもう少し広く、からだ全体のバランスとして考えます
大きく分けて、原因には2つのタイプがあります
①「肝(かん)」の乱れによるタイプ
五臓のひとつ「肝」は、メンタルや情緒の安定を担うところ

ストレス・プレッシャー・環境の変化などで「肝」が乱れると、
自律神経も不安定になりやすくなります
その結果、
✅急なのぼせやほてり
✅頭や脇、手足に汗をかく
✅イライラや気分の浮き沈みが激しくなる
こういった症状が現れやすくなります
金子漢方薬局では10代の方のご相談も多く、
「学校に行くとお腹が痛くなる」「変な汗が出る」といったお悩みも、
「肝」を整えることで改善していった症例はたくさんあります
さらに、「肝」と深く関わるのが「腎(じん)」
「腎」は生命力やホルモンバランスに関わるところで、
40歳を過ぎるころから少しずつ弱まり、50歳前後で閉経を迎えるとより変化が現れます
「腎」が弱まると、「肝」も不安定になり、
のぼせ・ほてり・動悸・不眠など、さまざまな不調が出やすくなります
これが、いわゆる更年期障害です
🌿「肝」のたかぶりを落ち着かせ、心身のバランスを整えるのによく使う漢方薬
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
・抑肝散加芍薬黄連(よくかんさんかしゃくやくおうれん)
・加味逍遙散(かみしょうようさん) など
どれも「肝気鬱血(かんきうっけつ)」によく使う処方ですが
それぞれに特徴があり、全然違う処方なので、しっかりと弁証して見極るのが重要です
(8今年の夏はとくに「柴胡桂枝乾姜湯」をお出しする方が多い印象でした💭)
②「血(けつ)」の不足によるタイプ
「血(けつ)」というと”血流”をイメージされる方が多いですが
漢方では”体をクールダウンさせる物質”と考えます
年齢とともに「血」は少なくなり、
そのサインとして、40歳を過ぎてくるとお肌や髪、爪などの乾燥として現れ始めます
血が足りず末端まで届かなくなると、
手足のほてりや顔ののぼせなど、「からだの末端に熱がこもる」症状が出やすくなります
また、「血」は「心(しん)」を落ち着かせる働きもあるため、
不足することで眠れなくなったり、不安感が強まってきます
以下の症状は、「血」が不足して熱がこもっているサインです
✅真夜中にほてる
✅寝つきが悪い、途中で何度も目が覚める
✅寝汗や口の渇きがある
🌿「心」を落ち着かせ、体の熱をクールダウンさせるのによく用いる漢方薬
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
・加味帰脾湯(かみきひとう)
・知柏地黄丸(ちばくじおうがん) など
上の二つは心血虚に用い、知柏地黄丸は腎を養います
血虚(あるいは陰虚)がどこにあるかが大事です
年齢とともに少なくなる「血」を漢方で補うことは
のぼせやほてりの予防だけでなく、エイジングケアや美容にもつながり、
もっと先の話をすると「認知症」の予防にもつながっていきます
症状が改善して飲みやめる方もいらっしゃいますが、
「未病を防ぐ」という意思で、漢方を続けていかれる方も多くいらっしゃいます☺️
「同じのぼせ」でも原因は人それぞれ
漢方外来など行くと、
「更年期ののぼせ=加味逍遙散」
「血の滞り=桂枝茯苓丸」
といった形で一律に処方されることも多くあります
しかし、実際には同じ“のぼせ”でも、人によって原因も体質もまったく違います
年齢、季節、ストレスの状態、生活リズム
さまざまな要素が絡まって「体質」ができ、その治療法も養生法もひとによって変わってきます
「病院で漢方をもらっているけれど、あまり効果が分からない…」
という方は、ぜひ一度ご相談ください🌿
オンライン相談も行っております
金子漢方薬局では、遠方にお住まいの方やお忙しい方向けに
オンライン(zoom/LINE通話)にてカウンセリングを行っております
初回は短い日数からお出しして、
試していただいて継続できそうでしたらまた追加でお送りする、
という流れになりますので、はじめての方もお気軽にご相談くださいませ🌿
漢方カウンセリングは予約制となります
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